以下の内容は、高山俊吉『入門交通行政処分への対処法』及び私が代理人(「保佐人」)として関与した経験などをもとにして記載しています。
運転免許の取消処分は、交通違反や交通事故を起こしたとき、又は自動車等を運転することが著しく道路交通の危険を生じさせるおそれがあるとき、その方の免許を取り消すものです。取消処分がされると、公安委員会が指定した欠格期間が経過するまで、新たに免許を取得することはできなくなります。この取消処分の際には、意見の聴取または聴聞の手続が行われます。
意見の聴取、聴聞にあたっては、当該処分を受ける者は、期日の際や期日に先立って、事案について意見を述べ、証拠を提出することができます。当該処分に関する資料を閲覧することも原則できます(私が実際に関与した事件では、事前申請の上、石川県運転免許センター内で閲覧をしました。謄写はできなかったので、大事なところを書き写しました。)。公安委員会側に十分検討してもらうために、意見や証拠は事前に出しておくべきでしょう。また、申請の上、弁護士などの代理人に意見を述べさせたり、証拠を提出させたりすることができます。
意見聴取等の当日は、運転免許証を持参して出頭します。会場まで自分で車を運転して行くことはしてはならないとされています。私が実際に関与した事件では、会場は、金沢市鞍月にある石川県県警本部でした。
予定していた時間になると、取消処分、意見聴取等の手続きの概要に関する説明が始まります。その後に、1人ずつ、別室に呼ばれて、意見聴取等が行われます。1人あたり5分から10分程度かと思います。部屋には、聴取者からみて正面に主宰者、横に警察官がいます。ここで事案について意見を述べたり、主宰者や警察官からの質問に対して回答したりします。こういった手続に慣れていないと、その場で思いつきで回答するのはなかなか難しいですので、十分な事前準備が必要です。
その後、間を開けて、1人ずつに処分の言渡しが行われます。1人あたり2、3分程度です。なお、私が実際に関与した事件では、当日は、午前10~11時頃から聴取等を行い、間を開けて午後2時半から3時頃に、処分の言渡しが行われるというスケジュールでした。
事前に手続を案内する聴聞通知書が届いてからはあまり時間がありません。できる限り早めに準備をし、必要があれば弁護士等にご相談いただくのがよいと思います。