生活年齢とは「誕生日を起点とした暦の上の年齢(日本国語大辞典より)」です。精神年齢とは「精神発達の程度を表す尺度の一つ(日本大百科全書より)」です。精神年齢は知能検査を受けることで明らかになる年齢で,生活年齢と必ずイコールになるとは限りません。(発達検査を受けることで分かる年齢は発達年齢と示されます。)これらの検査を行うのは医療機関等であり,心理士(または発達心理学を学んだ人)が担うことが多いです。
知的障害の方の場合,この二つの年齢を配慮した支援を考えていくことになりますが,加えて大事なのが生活歴です。
どんな生活を送ってきて,その中でどんな経験や学習をしてきたかによって,「その人らしさ」ができていきます。生活年齢,精神年齢ともに同じ人でも,見えてくる様子が違うのは,生活歴が違うからです。
最近,発達について考える機会があり,関連する本を何冊か読みました。発達についてはまだまだ無知なことが多いですが,それらの本を読むうちに,上記のように考えるようになりました。
法律事務所という他業種の中で福祉職として何ができるか,をよく考えますが,二つの年齢だけにとらわれず,生活歴にも着目してその人をアセスメントし,支援を組み立てることは福祉職の専門性の一つだと感じています。
参考図書:教育と保育のための発達診断/白石正久 白石恵理子編 全障研出版部
図で読む心理学 発達【改訂版】/川島一夫編著 福村出版
社会福祉士・精神保健福祉士 小堺有希