遺産分割にあたっては、その範囲(何を分けるか)が問題となる事案もあれば、評価(いくらとするのか)が問題となる事案もあります。今回は、その評価の基準時について。
遺産分割のための相続財産評価は、分割の時を標準としてなされるべきものとされています(遺産分割時説)。
もっとも、特別受益などが問題となる事案においては、相続開始時を基準とします(なお、受贈者の行為によって受贈財産が滅失又は価格の増減があった場合には、相続開始時に、現状のままであるとみなして算定します(民法904条))。
実務においては、相続開始時と分割時が近接しており、変動が少ない場合には、いずれか1時点をもって評価額とすることがあります。
以上につき、片岡ほか『家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』、潮見『詳解相続法』など参照。